めがねぱぱ

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ミルトンモデル 催眠言語は催眠術ではありません。

最終更新: 2022年4月18日

広告や営業など人を説得したり、行動を促す場面で、無意識的に頻繁に使われている言葉がけとは何なのかご存じでしょうか。

集客などの手法として、購買行動を促す言葉として、日常にあふれている言葉。

それは催眠言語です。

本日は催眠言語についてお伝えします。

催眠言語と聞いて「あなたはだんだん眠くな~る」という催眠術のイメージが浮かんだあなた。勉強不足です(笑)

私たちは日常で無意識のうちに催眠言語を使っています。

「あいまい」なことばで相手を誘導したり、伝えにくい自分の主張を伝えたりしてますよね。子供が「みんな持ってるもん!」などといっておねだりするのはその典型です。

難しく言えば、意図的な削除、歪曲、一般化による、あいまいな言葉を使用することによって、相手の無意識に働きかけ、抵抗を解除して思考や行動に変化を起こすということになります。


 
この催眠言語を理解して、日常で無意識に使いこなせるようになるには、かなりの訓練が必要です。


 
メールやブログなどの文章から実践するのが初学者には扱いやすいかも。

◆ミルトンモデルとは

20世紀最大の催眠療法家といわれたミルトン・エリクソンが、クライアントに対して使用していた巧みな言葉遣いを分析・体系化したもの。ミルトン・エリクソン本人はクライアントごとに異なるアプローチをすべきという信念から、自らは技法の体系化は好まなかったそうです。


 
◆ミルトンモデルを使用するポイント

・相手とのラポールが構築されていることが前提。
 
・相手の想像力に働きかけるように話すこと。
 
クライアントとの信頼関係が成立していなければ、催眠言語はその力を発揮しえない。
 

ラポールを構築する責任はクライアント側でなくガイド役の柔軟性にある。
 
「抵抗するクライアントなどいない。柔軟性に欠けるセラピストがいるだけ」
 

◆ミルトンモデルの13のパターン
 

[1]前提

言葉の中に隠された前提を意図的に表現しないことで、前提となっている事柄を受け入れさせる。
 

~あなたは深いトランスに入っていることに気づいていますか?~
 
トランスに入っていることが前提になっている。深いかどうかは関係ない。
 

[2]マインドリーディング

あたかも自分が相手の心を読んでいるかのように話すこと。
 
相手の意見に従うのではなく、自分の意見のように感じるのでyesの反応を引き起こしやすい。使うときにはさりげなく。
 

~成長したいと思っていますね?~

→答えがNoであっても無意識に「成長したい」という思いが投げかけられる。
 

[3]主体の省略

価値判断をしている存在を不明、またはあいまいにすることによって、その意見を心の中で受け取りやすくする。yes setの一部として使っても効果的。
 

~夏のバカンスと言えば南の島ですよね!~

このあとに「それが今年は韓国らしいですよ」と続けると同意を得やすくなる。
 

「日本人は世界一勤勉だと言われています」←これもそうですね。
 

[4]因果関係

因果関係をもって二つのことを結び付け、言い切ることで説得力を増す。
 
否定しがたい事実と望む状況を結び付け、言い切ることで相手が受け入れやすくなる。
 

A:○○だから△△
 
~今日は暑いから、アイス買ってよ!~
 
→ 単純に「アイス買ってよ!」というよりも「今日は暑い」という事実を初めに言ってから望む状況を言葉にすることで相手が受け入れやすくなる。
 

B:○○が起こると△△
 
ひとつのことが起こると別のことが起こるという言い方。根拠があるように相手に感じさせることが出来る。
 

【例】

~深呼吸すると落ち着いてきます~
 

[5]異なるものの同一視

二つの違うものを「同じこと」として結び付ける。相手からyesの反応が反ってくる内容を先に入れることで、続く内容にnoを出しにくくなる。
 

【例】

~上司が仕事のやり方に干渉しないということは、あなたのことを信頼しているということだ~
 

[6]普遍的数量詞

「すべて」「みんな」「誰もが」「いつでも」「あらゆる」・・・。
 
普遍化、一般化することでメッセージを受け取りやすくすることが出来る。
 

【例】

~この商品を導入した企業はすべて、生産性を30%以上向上させています~
 
→具体的な社名や社数には触れず、「すべて」と言い切ることで説得力を増す。


 
[7]不特定動詞・名詞

使用されている動詞や名詞が具体的にはどのようなことを指しているのかを受け取り手の判断に任せる。

【例】
 
~今は全社一丸となって闘わなければならない時期なのです~
 
→「闘う」具体的な内容は聞き手の価値基準に委ねられる。
 

[8]叙法助動詞

「出来る」という表現。可能性があることは否定できないのでyesを引き出しやすくなる。
 

【例】
 
~人はいくつになっても成長することが出来る~
 

[9]引用

誰かの言葉を引用してメッセージを伝えることで、聞き手に否定の感情が入り込みにくくなる。


 
~○○さんが言うには、エリクソンは「抵抗するクライアントなどいない。柔軟性に欠ける

セラピストがいるだけだ」と言っていたそうです。~

→引用の延長。引用する文章の中に、さらに別の人の言葉を盛り込む。通常の引用よりも深くメッセージを届けることが出来る。
 

[10]否定命令

脳は、「命令+Not」を理解しない。従って、「命令+Not」の形でのメッセージは「命令」の部分の言葉無意識に伝える効果がある。

【例】
 
~白いクマを思い浮かべないでください~
 
~俺に惚れるなよ~
 
~押すなよ!絶対に押すなよ!!!~
 

[11]挿入命令

相手への誘導を含んだ表現を埋め込む。アナログマーキングと併用することで効果が高まる。
 

【例】

~リラックスして聞いていただいて構いません~
 
→リラックスして聞くようにという命令を無意識に伝える。
 

[12]アナログマーキング

非言語の振る舞い、態度でメッセージを強めたり、際立たせる。
 
・声の音量
 
・声の抑揚
 
・手を動かす
 
・表情
 
・文字を太字にする
 
・書体を変える
 
・文字に色を付ける
 
・文字に「」を付ける  など。
 

[13]ダブルバインド

相手に「選択の幻想」を与える。相手がどちらを選択しても、自分の意図の中に入ってくる。
 

【例】

~(会議室に部下を呼び出して)異動するなら支社と子会社どっちがいい??~
 
→どちらを選択しても異動することになります(笑)

ああ、これ使ったことある!なんてものもあるのではないでしょうか?広告のキャッチコピーや仕事での交渉シーンなどで催眠言語は意識的・無意識的にかかわらず使われています。

そうこの世は催眠言語に満ちているのです。

催眠言語の構造を理解して、意識的に使えるようになれば、仕事・人生・人間関係がうまくいく可能性を高めることができるようになります。