言葉だけでは伝わらない相手の本音を理解して、適切なコミュニケーションを取ることができるようになるのなら知りたいですよね。
いわゆる「空気を読む」その技術があるのであれば聞きたいですよね。
空気を読んで伝えたいことを正しく伝え、相手の行動を促すことが出来るようになる、その具体的方法についてその手順を見たいですよね。
その方法とは何なのか?
それはがNLPの基本スキル「キャリブレーション」です。
キャリブレーションとは何なのか?
キャリブレーションは英語ではcalibrationと表記され、直訳としては「計測」「校正」となります。「観察」と訳されることもありますが、NLPでは相手を観察し、非言語の変化を「計測」することをキャリブレーションとしています。
つまり、「キャリブレーション」とは、相手を観察し、言葉以外の情報を集め、その変化を計測するということです。
相手を観察し、非言語の変化を計測することで、相手の心理状態やその変化に気づく。そのためのスキルがNLPのキャリブレーションです。
では「計測する」とは何なのか?
下の写真をご覧ください
一般的には「笑っている」と判断しますね。
NLPのキャリブレーションでは「口角が大きく上がり歯が見えている」「向かって右に顔を傾けている」「目じりが下がっている」とします。
そうなんです。観察によって得られた情報に観察者の判断は伴わず、情報をありのままに捉えるのがキャリブレーションです。
キャリブレーションで具体的に観察する対象
キャリブレーションを行う対象は言葉以外の情報、いわゆる非言語の情報になります。
具体的には以下の通りです。
✓表情の変化‥顔の皮膚の色、しわ、眼球の動き、瞳孔の開き具合、まばたきの速度など
✓呼吸の変化‥浅い、深い、停止、胸呼吸、腹呼吸など
✓声のテンポ‥間、速い、遅いなど
✓声のトーン‥高い、低いなど
✓声の大きさ‥大きい、小さいなど
✓声色‥かすれた音、朗々としたなど
✓姿勢‥身体の姿勢、立ち居振る舞いなど
✓仕草‥手や足の動き、指先の緊張(テンション)
これらの非言語情報を観察することで、相手の状態を見分けていきます。
キャリブレーションの罠
観察を通じて得た非言語情報に自分勝手な憶測や先入観を入れて解釈してしまうと、それはキャリブレーションではなく、単なる自己満足的な決めつけになってしまいます。
この罠にはまらないようにするには、キャリブレーションをする際に、憶測や先入観を持たないことです。
先ほどの写真をもう一度見てみましょう
笑顔で会話をしている人を見れば「楽しんでいるな」「喜んでいるな」と私たちは解釈しがちですが、キャリブレーションを行う際には、こういった意味づけや解釈は行いません。
写真の人物は笑顔を作りながら「何言ってんだばーか」と心の中でうんざりしているかもしれないのです。
楽しいときには笑顔になる人が多いものですが、すべての人がそうであるとは限りません。楽しいと感じていても笑顔を見せない人もいます。
そうした人であっても、良く観察していると「楽しいときには相手の目を覗き込むようにしながら深くうなずく傾向がある」など、人によって心の状態を表す手がかりが非言語に現れます。
相手が発する非言語情報をただ観察し、相手が今どのような状態にあるのか。何を見て、聞いて、感じているのか。これらを知覚することがキャリブレーションです。これが普通の観察や、通常の「空気をよむ」という表現とは異なるところです。先入観を完全に排除した「客観的観察」がキャリブレーションであると理解すると分かりやすいでしょう。
キャリブレーション力を高める方法
どのようにしてキャリブレーション力を開発し、高めるかについてお伝えします。
ここではシンプルで誰にでもできる方法をご紹介しましょう。
二人一組となり、AさんBさん役を決める
AさんはBさんにとって本当のことを質問し、Bさんは全て「はい」で答える
AさんはBさんにとって嘘になることを質問し、Bさんは全て「はい」で答える
AさんはBさんに「はい」「いいえ」で答えることが出来る質問をBさんにする
AさんはBさんが本当のことを答えているのかどうか、非言語情報から推察し当ててみる
例:(Aさんは男性、Bさんは女性だとします)
※AさんはBさんにとって本当のことを質問し、Bさんは全て「はい」で答える
Aさん:Bさんは女性ですね?
Bさん:はい
Aさん:Bさんは今私の質問を聞いていますね?
Bさん:はい
Aさん:Bさんは今私と一緒にいますね?
Bさん:はい
※AさんはBさんにとって嘘になることを質問し、Bさんは全て「はい」で答える
Aさん:Bさんは男性ですね?
Bさん:はい
Aさん:Bさんは今私の質問が聞こえていませんね?
Bさん:はい
Aさん:Bさんは今私とは別の場所にいて私の声をきいてますね?
Bさん:はい
何がBさんの「はい」「いいえ」を非言語的に構成しているのか?「はい」を示す非言語情報と「いいえ」に伴う非言語情報を区別できるまで、質問を続けながら観察を続ける。
区別が出来るようになったらAさんはBさんに「はい」「いいえ」で答えることが出来る質問を質問をする。
Aさん:Bさんは結婚していらっしゃいますね?
Bさん:はい(またはいいえ。Bさんは本当のことを言っても嘘をついても構わない)
AさんはBさんが本当に結婚しているかどうかを非言語の情報から判断して回答する。BさんはAさんの回答が正しいかどうかフィードバックする。
連続して4回正しい判断が出来るようになったら、AさんとBさんの役割を交代する。
このワークを数人の相手と楽しみながらやってみてください。すると反応が人によって実にさまざまであることが分かってきます。
さらに、丸一日または二日、ひたすら人々が出すこの種の反応を観察するのも良いトレーニングとなります。
キャリブレーション力を高めて相手の本音を理解する
誰かがあなたのもとに来て、わからないことを質問し、あなたが説明してあげたとします。
相手は「わかりました」と答えてくれたものの、声のトーンは低く、首をかしげながら納得がいってない様子。
このような状況ならあなたは「本当にわかった?」と確認したり、改めて説明をしてあげようとするでしょう。
私たちは普段の会話の中でも自然に相手のことを観察して、それに対して反応しています。その反応には私たちの自己満足的な決めつけが伴い、誤解や行き違いを生み出す原因となることがあります。
キャリブレーション力を高めることにより、相手が発信している微妙な非言語の情報を読み取り、相手の本音に気づくことが出来る確率を格段に高めることが出来るようになります。
そして、相手の本音に寄り添って適切な対応をすることによって、信頼関係(ラポール)を築き、円滑な人間関係を作り出す可能性を高めることが出来るようになるのです。