プランド・ハプンスタンス理論(計画的偶発理論)
プランド・ハプンスタンス理論(計画的偶発理論)はスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した理論です。キャリアコンサルタントをはじめキャリアにかかわる人であれば知らなければ「相当まずいよ」なんて言われてしまうくらい有名なキャリア理論です。
キャリアの語源は「轍(わだち)」だといいます。荷車の車輪が通った道に残す跡のことです。一般的にはキャリア=仕事や職業と捉えられていますが、キャリア=積み重ねた人生、これから積み上げていく人生と捉えなおすことで、人生の景色を大きく変える可能性が高まります。ここでは「キャリア」を「人生、生き方」に置き換えてお話をしますね。
プランド・ハプンスタンス理論の3つのポイント
プランド・ハプンスタンス理論は、3つのポイントから提唱されています。
個人の人生の8割が、予想できない偶然の出来事によって左右されている。
偶然の出来事を本人が主体的に活用することで、豊かな人生につながる。
ただ偶然が発生するのを待つのではなく、意図的に生み出せるよう積極的に行動することが大切。
受け身で日々を過ごすのではなく、主体的かつ積極的に行動することが大切だということですね。
現代は変化の激しい時代です。予期していなかった事態に適応しなければならない状況が日々起こります。思い描いた計画通りに進まないことも多いでしょう。そうした中、変化への適応を前提とする考え方がプランド・ハプンスタンス理論です。
実践するための5つのポイント
では、変化の激しい現代で豊かな人生を送るには、どんな行動が求められるのでしょうか。プランド・ハプンスタンス理論では、偶然を受け入れると同時に、自ら偶然の出来事を引き寄せるアプローチが重要として、次の5つのポイントを挙げています。
1.好奇心
なんにでも興味を持ち視野を広げること。
2.持続性
うまくいかなくても続けてみること。
3.柔軟性
こだわりや決めつけを手放し臨機応変に対応すること。
4.楽観性
なにが起きても楽観的に考えること。
5.冒険心
リスクを恐れず行動すること。
つまり…。
なんにでも興味を持って、
少しくらいうまくいかなくても継続し、
柔軟な姿勢を心がけ、
くよくよせずに
やってみる。
ということです。
クランボルツ教授自身も、まったくの偶然から心理学の教授になったのだといいます。進路を決めかねて、所属していたテニス部の顧問の教授に相談したところ、この教授が心理学者だったことがきっかけで心理学の道を歩き始めたのだそうです。
人生の8割が、予想できない偶然の出来事によって左右されている。そして、その多くの偶然は、自分以外の人によってもたらされる。そうだとすれば、人と人の良好な出会いと繋がりを大切にし、積極的に人とかかわることを意識したいものですね。