人は無理に変わる必要はない。
ただ、今の自分をもったまま成長することはできる、というお話をします。
■今の自分を手放せますか?
他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変えられる。
よく耳にする言葉ですね。
「変える」
この言葉を聞いてどう思いますか?
変える→変化するですかね。
多くの人はそう思うのではないでしょうか。
変えるは英語にすると Change
それまで持っていたものはなくなって、別のものに変化するという意味です。
今の自分を捨てて、別の人間になりたいと思いますか?
多くの人はここでつまづきます。
変わりたいけど変われない。
変われないのには、変わらない理由があるんです。
その理由についてお伝えします。
■変わらないことで手に入れてるものがある
変わりたいのに変われないのは、変わらないことで手に入れているものが
あるからです。
問題に対処するために変わるよりも、今のままでいたほうがメリットがあるということです。
人が、変わりたいと思うとき、そこには否定的な理由が大抵あります。
・人とうまく付き合えない自分を変えたい → 人間関係がうまくいってない
・何をやっても途中で投げ出して、最後までやりきれない自分を変えたい
→何も成し遂げることが出来ない
・仕事を人に任せることが出来なくて、抱え込んでしまう自分を変えたい
→人を育てることが出来ない。仕事の効率が悪い。
〇〇は良くないから□□な自分に変わりたい、ということです。
ところが、《□□な自分に変わる》よりも今のままでいたほうがメリットがあるとき、人は変わろうとはしません。いや、できないんです。
・仕事を人に任せることが出来なくて、抱え込んでしまう自分を変えたい
この例でいえば、仕事を人に任せるよりも、自分で抱え込んでしまうことで満たしている
目的が自分の中にあるということです。
■二次的利得
NLPではこの、問題を取り除くことよりも、問題を持ち続けていることで得られるメリットが大きいことを「二次的利得」と呼びます。
人が変化しない、変われない理由の一つとされています。
・仕事を人に任せることが出来なくて、抱え込んでしまう
この例でいえば
・なんでもできる有能な人材と評価されたい
・頼りになる人間だと思われたい
・常にやることに追われていることで充実感を満たしたい
こんな隠された目標を満たしているのかもしれません。
仕事を抱え込んでしまうことは、仕事を任せて人を育てたり、仕事を効率的に進めるという面では問題です。
しかし、なんでもできる有能な人材と評価されたいという欲求を満たすには、実にうまく機能しているのです。
うまく機能していることをやめるのは、本人にとっては苦痛ですよね。
これが二次的利得の影響です。
人が変われない、変わろうとしない原因の一つです。
■二次的利得に潜むもの
この二次的利得を掘り下げていくと、本人も気づいていない「思い込み」にいきつくことがあります。
思い込みには役に立つものと、自分を縛り付け、身動きを取れなくさせてしまっているものがあります。
〇〇でなければならない。
〇〇でなければ愛されない。
〇〇でない私はこの世に存在してはいけない。
「なんでもできる有能な人材と評価されたい」という二次的利得に潜む思い込みには「何もできない私は生まれてきちゃいけなかったんだ!」という思い込みが潜んでいるかもしれないのです。
■思い込みは捨てなくてもいい
こういうと「よくない思い込みは手放したほうがいいよ」というセラピストの方が多くいます。
いわゆるビリーフセラピーですね。
思い込みを手放し、新しい自分に変容するセッションをビリーフチェンジと言います。
もちろん、そういう考え方もあります。
手放したほうが良い思い込みは手放すに越したほうが良いです。
でもですね…。
そんなに簡単なことでしょうか?
素晴らしいセラピストのセッションを受けて、思い込みを手放したとしても、その思い込みは、しばらくすると再びよみがえることが多くあります。
それくらい「思い込み」というものは手ごわいのです。
私が、お勧めするのは、思い込みを手放し自分を変えることではなく、思い込みはもったまま、そこに自分が今まで意識してこなかったものに意識を向けていくことです。
■今の自分を含んで超える
今の私たちがあるのは、良いもの、悪いもの含めて「思い込み」のおかげなんです。
無理に手放さなくてよいんです。
その思い込みを心にもったまま、なりたい自分に意識を向けてみてください。
私はこのことを「含んで超える」と呼んでいます。
なんでも手放せば良いのではなく、時にはその思い込みを抱いたまま、前に進むことが、その人の選択肢と柔軟性を高める事になる場合もあるのです。
変わるのではなく、進化する。
今の自分はそのままで、新しい自分をそこに加えてみる。
変わるのではなく、進化していく。
いかがでしょうか?