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  • 執筆者の写真めがねぱぱ

アンカリング│望ましい心身の状態を作り出す技術

ここ一番の勝負の場面で瞬時に集中力を高めたり、緊張を強いられる状況で、心身の状態をリラックスした状態に切り替える方法があるなら、その方法を誰もが知りたいと思いますよね。

その方法とは何なのか?

それが、これからお話しする、NLPのアンカリングです。


■ 目次


 

NLPのアンカリングとは


NLPのアンカリングとは、刺激と反応の条件付けを意図的に作り出し、いつでも望ましい心身の状態を創り出すことを可能にするNLPの技法です。


このアンカリングを実践することによって、仕事や家族、恋人、友人関係など、人生の様々な場面で役立て、活用ができるようになります。


※認知心理学や行動経済学でいう、最初に提示されたものの特徴や数値、価格によって、後に提示さるものの数値の判断がゆがめられ、最初に提示されたものに近づく傾向のことを指す、アンカリングとは別のものとして、ここでは考えてください。


アンカリングの効果


アンカリングにより得られる効果には、どのようなものがあるでしょうか。

以下にいくつかご紹介します。


例えば、仕事で、お昼休みの後など、リラックスした状態から午後の会議に向けて集中力を高めることが出来るようになります。


あるいは、プレゼンの前、緊張した状態を緩和し、リラックスした状態に気分を切り替え、心身の準備を整える。


また、あるいは、ミスをしてしまった時に、笑いの感覚を呼び起こし、気持ちを切り替えて次に進む心身の状態を創り出す。


このように、瞬時に手に入れたい心身の状態になることが出来る方法。それがアンカリングによって得られる効果です。



アンカリングの定義


アンカリングの定義は以下のようになります。


アソシエイトで強烈なステートにいる人に、その体験のピーク時に、特定の刺激を与えることで、その二つが神経学的にリンクすること」

アソシエイトとは、みなさんが過去の体験などの記憶の中で、自分の目を通して映像を見るのと同時に、聴覚や体の感覚でも実体験している状態をいいます。


そして、ステートとは、人の内的な感情の状態に関連する、心身の状態を表します。

例えとして、幸せなステート、パワフルなステートなどがあります。


神経学的にリンクするとは、刺激と、それに対する反応の条件付けのことです。



有名な「パブロフの犬」の実験をご存知の方も多いのではないでしょうか。パブロフは犬が肉に無条件に反応して、よだれを流すのに気づき、この反応に別のきっかけとなる刺激を結び付けました。


パブロフはベルの音を聞かせながら、犬に繰り返し肉を見せたのです。その結果、犬はほどなくベルの音を聞くと、よだれを流すように条件づけられました。


犬はベルの音と肉を神経学的にリンクさせたのです。

犬の自律神経は「肉」に反応して自然に唾液を分泌させるため、犬の神経は学習によって、とても珍しいもの、独自性の高い条件付けのきっかけ、ベルの音に反応してよだれを流したのです。


反応の条件付け


反応の条件付けについて、例を挙げながら少し解説します。


条件付けとは『刺激Xによって、Yという反応が起こる』、という形で表現されるものです。


具体的には


私たち日本人は梅干を見るとどうなりますか?そう、酸っぱい感覚が起きますね。そして唾液が口の中に溜まるのを感じますね。梅干を見るが刺激X、酸っぱいという感覚が起こり唾液がたまるというのがYという反応です。


このように、条件付けとは、『刺激Xによって、Yという反応が起こる』という形で表現することができるもの、ということになります。


これらの条件付けは、普段無意識に作られることがほとんどです。

日常生活はアンカリングだらけ


私たちは日常生活の中で、五感から受ける刺激を、様々な心身の状態とリンクさせ、条件付けています。


通常これは、天気の良い日には晴れやかな気分になるとか、思い出の曲を聞くと、その時の感情が再現されるというように、無意識のうちに、自然に発生していて、これらの刺激をアンカーだと考えれば、私たちの思考や、感情といった反応は、これらが引き金となって起きていると考えることができます。


アンカリングは、この、自然に発生している刺激と反応の条件付けを意図的に作り出し、いつでも望ましい心身の状態を創り出す方法というものです。


反応を引き出す刺激X


アンカリングでは条件付けの引き金となる、刺激Xのことをアンカーと呼びます。アンカーと神経学的にリンクさせる反応Y(心身の状態)がステートでしたね。


アンカーとは船の(いかり)のことですね。(いかり)を海に落として、船をその場に停泊させ、その場に定着させるということから、条件付けのきっかけとなる刺激のことをアンカーと呼びます。

NLPのアンカリングでは、普段は無意識に作られる条件付けを意図的に作り出し、いつでも必要な時に適切なステートになることを目的としています。


アンカリングによって過去のステートにアクセスすることができ、過去のステートと現在、未来のステートをリンクすることが出来るようになります。


アンカリングに最適なステートとは


アンカリングを行う際に使用するのに最適なステートは何なのか?

それは、自然に発生したステートです。


実際に体験している、その時にアンカリングを行います。具体的には、腹を抱えて大笑いするとか、家族と一緒に楽しい時間を過ごし、今まさに幸せを感じている、まさにこのときにアンカリングを行います。


次に適しているステートは何なのか?

それは、過去の体験で強いアソシエイト状態のステートです。


今現在体験していないステートであっても、アソシエイトな状態で体験した過去の記憶にアクセスすることで、過去に体験したステートを再現して使用します。


最も適していないステートとは何なのか?

それは、作り上げられたステートです。


ご本人が体験していない、想像上の作り上げられた体験のステートでは、充分なアンカリングの効果を得られないと考えられています。


アンカリングを行う際に決めておく2つのこと


アンカリングを行う際には以下の2つのことを決めておく必要があります。


1.何をアンカーに使うのか。

2.何のステートをそのアンカーにリンクさせるのか。


この2つです。


「アンカーはこぶしに触れること」「ステートは大笑い」というように、どんなアンカーと、どんなステートをリンクさせるかを決めておきます。


アンカリングを行う際の心得


あなたがガイド役で、お相手にアンカリングを行うケースでいえば、アンカーとステートを決め、お相手に過去の鮮明な体験を思い起こしてもらい、ステートに入ってもらうのですが、このとき心得ておくべきことがあります。


1.ガイドが先にステートに入る

ステートを引き出す際には、お相手と同じステートに自分が入ってアンカリングを行うというものです。


お相手に大笑いのステートに入ってもらうなら、まず自分が大笑いのステートに入るのです。


2.ブレイクステート

アンカリングが完了したら一旦お相手をブレイクステートします。ブレイクステートとは、現在のステートから一旦出て、ニュートラルな状態へと移動することを指します。


アンカリングを行ったお相手に「今朝の朝食は?」とか「パンの焦げる匂いがしませんか?」といった、まったく関係のない質問をすることで、それまでのステートをリセットすることができます。


このブレイクステートをしっかりやっておかないと、アンカーが正しく作用しているか確認することが出来なくなるので、しっかりとブレイクステートします。


3.アンカーの作用を確かめる

アンカリングが終了し、ブレイクステートでニュートラルな状態に入ったお相手に対して、アンカリングを行った場所に、同じ方法で同じ刺激を与え、ステートを呼び起こすことでテストします。この同じ刺激を与え、ステートを呼び起こすことを「アンカーを発火させる」といいます。



アンカリングの5つのポイント



アンカリングを行う際には以下の5つのポイントがあります。


  1. 経験の強さ

  2. アンカリングのタイミング

  3. アンカーの独自性

  4. 刺激の複製

  5. 回数

以上の5つです。

順番にみていきましょう。


【 1.経験の強さ 】

アンカーされた状態が持つ感覚の強さです。大笑いした、愛されていた、パワフルだったなどの強い感覚のものが望ましいです。


【 2.アンカリングのタイミング 】

ステートがピークに達する前にアンカリングをはじめ、ピークを過ぎてステートが下降し始めたら終了するということです。


注意していただきたいことは、ステートのピークとはピークを過ぎてステートが下降し始めた時点で、はじめてそれがピークであったとわかるということです。


ステートのピークを逃さないように、相手を良く観察し、相手がステートに入ったと見えたらすぐにアンカリングをかけ始めることがコツです。


では、アンカリングを終了させるタイミングはどうでしょうか?

ステートは無限に上昇を続けるものではありません。上昇し始めたステートはピークに達し、その後、下降し始めます。


よく相手を観察し、ピークに達したステートが下降し始めたとあなたが判断したらすぐにアンカーを外し、アンカリングを終了させます。 アンカリングを行う時間は相手の状態にもよりますが、相手がステートに入り始め、ピークに達し、ピークに達したステートが下降し始めるまでの間、時間にして5秒以上、最大で15秒となります。つまりアンカリングを行う時間は最大で15秒ということになります。


【 アンカーの独自性 】

アンカーの独自性とはアンカリングする場所のことです。アンカリングを行う際には例えば、こぶしなど、ユニークで分かりやすく、頻繁に触れられる場所を避けて選ぶことで、正確かつ明確で複製可能なものになります。


【 刺激の複製 】

同じ場所にアンカリングを行う際には、同じやり方、同じ強さで行うということです。例えば、大笑いのステートをアンカリングする際に、小指のこぶしに指先でアンカリングをしたのであれば、もう一度大笑いのアンカリングを行うときには、同じように小指のこぶしに同じ指先を使って、同じ強さでアンカリングを行うというものです。


そしてこれはアンカーを発火させるときも同様です。アンカーを発火させるときにも同じ場所に同じやり方、同じ強さでお相手に触れるというものです。


【 回数 】

充分に強いステートであれば一回でアンカリングの効果を得ることができますが、一度だけでなく何度も繰り返すことでアンカリングの効果を強化することができます。



 

いかがでしたでしょうか。


NLPのアンカリングとは、刺激と反応の条件付けを意図的に作り出し、いつでも望ましい心身の状態を創り出すことを可能にするスキルです。


一見して単純で誰にでもすぐに使える技法ですが、効果を実感できようになるまでに使いこなすには様々なポイントがあります。


いつでも必要な時に欲しいステートを呼び起こすことが出来るようになるために、何度も練習してみてください。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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