今回はミラーリング、バックトラッキングと並ぶラポール形成テクニックの一つである、マッチングについて解説します。
マッチングとは何か?
マッチングとは、目に見えない非言語へのペーシングです。
ペーシングとは何なのかというと、それはミラーリングとマッチングの総称です。人は自分に似た人や、共通点を持つ相手に好意を持つ傾向があります。これを類似性の法則と言います。この類似性の法則に基づいて、相手との距離感を縮め、好感や親しみやすさを生むために相手に合わせていく傾聴スキルのことをペーシングと呼びます。
マッチングは、目で見る視覚情報以外の非言語にペーシングするスキルです。
ミラーリングが相手の仕草や動作を「模倣する」ことに対して、マッチングは相手に「合わせ」「同調する」という点がポイントとなります。
人間関係で、仲の良い間柄のことを「テンポが合う」「息が合う」などと表現しますね。
友人や恋人、夫婦や仕事のパートナーなどで、信頼(ラポール)が築かれている関係では、お互いのペースが合っていることが良く分かります。
相手が気分よく、安心して話が出来るようにするためには、まずは相手に合わせることが大切です。
そのような状況を作り出す事が出来れば、相手はあなたを信頼し、心を寄せてくれることでしょう。
マッチングが対象にするものの例
1.声
・トーン(声の高さ)
・テンポ(話すスピード)
・声色(声の調子や話し方)
・大きさ(声のボリューム) など
2.感情
・喜び
・悲しみ
・幸福感
・怒り など
3.価値観
・安心感
・人の気持ち
・成果や結果
・計画的であること
・柔軟であること など
このほかにもテンションや息遣いなどの心身の状態も対象になります。
情熱的に話す相手に対しては、相手が放つ熱量に合わせ、自身を同調させていく。
冷静に淡々とした雰囲気を身にまとう相手には、こちらも同じような雰囲気を身にまとうように意識してみる、ということもマッチングの一つとなります。
ミラーリングとマッチングの違い
良くいただく質問に「ミラーリングをマッチングではどう違うのか?」というものがあります。
先にもお伝えした通り、ミラーリングが相手の非言語の振る舞いを「模倣する」事に対して、マッチングでは「合わせる」「同調する」という点がポイントとなります。
「合わせる」「同調する」ということは、目に見えない相手の雰囲気や価値観や感情などもマッチングの対象になります。
受け入れ、そこに寄り添う感覚というと分かりやすかもしれません。
また、模倣するのではなく合わせるという意味ではミラーリングの「ずらし」のテクニックである「クロスオーバーミラーリング」に近いものです。
いかがでしたでしょうか。
ラポール形成テクニックの一つであるマッチングについて解説させていただきました。模倣するミラーリングに対して、合わせる・同調することで安心感と親近感を高めラポールを形成するマッチング。
成功のポイントはミラーリングと同様に、相手を良く観察することにあります。
良く観察し、受け入れ、合わせ、同調する。
人と人が関わるあらゆる場面が練習の場となります。
是非お試しください。