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  • 執筆者の写真めがねぱぱ

MBTI  ユングの心理学的タイプ論に基づき開発された、世界で活用される国際規格に基づいた性格検査

「おしゃべりで落ち着きがない」

「真面目で自分の意見をはっきり言う」

「原理原則主義」

「ストレートな言葉遣い」


周囲が私に対して持つ私の印象です。

特に仕事関係者にはこのような印象を与えているようです。


自分ではごく普通にしているつもりでも、周囲からはこのように映るようです。正直あまり良い印象ではないと自分では思っています。


自分がごく自然だと思っている、物事の捉え方や判断の仕方が、人と異なるのは何故なのでしょうか。人はなぜ、同じものを見たり体験しても、その解釈や判断が異なるのでしょうか。


自分にとっての当り前を理解する。

それが他人とは異なるということに気づく。

こうした自己理解を通じて他者を尊重する。


自分と他人が異なる存在であるということに気づくと、対立する人間関係はお互いを補い合うパートナーシップになり、人間関係が豊かなものになります。


その助けとなる、国際規格に基づいた性格検査「MBTI」についてみていきましょう。


MBTIとは


MBTIは、スイスの心理学者カール・G・ユングによる著書「Psychological Types」の中にある心理学的タイプ論を基に、アメリカのキャサリン・ブリッグスとその娘イザベル・ブリッグス・マイヤーズが研究・開発を重ね、1962年に初版が世に出された性格検査です。


開発者であるマイヤーズ母娘の名前にちなみ、Myers–Briggs Type Indicatorの頭文字からその名前が付けられています。




MBTIとは、自分の心の規則性を性格タイプとして知り、自己理解を深めることを通じて、他者尊重に役立てる性格検査メソッドです。


MBTIは現在、欧米で最もポピュラーな性格検査の一つであり、その質問紙は世界で30以上の言語で翻訳され、毎年おおよそ500万人が受検する性格検査です。自己理解、他者理解、親子関係・夫婦関係などの人間関係、チームビルディングなど、「人」が関わるあらゆる場面で役に立てることができるため、日本でも2000年の導入以来、徐々に利用が広まってきています。


MBTIは性格検査ではありますが、スキルの習熟度や能力を測るものではありません。また他者との比較や評価をするためのものでもありません。私たちがどのように物事を捉え、判断しているのか。私たちの心がどのような規則性をもっているのか。私たち一人一人が「あたりまえ」と考えることが他人と異なるのは何故なのか、ということへの理解を深める心理学的メソッドです。


MBTIの検査を受ける際には、質問紙に答え、検査結果をきっかけにして、MBTIの専門家として認定を受けた認定ユーザーからの支援のもと、自他理解を深めるフィードバックまでを一つのパッケージとして提供されます。


特性論と類型論


性格検査とは、その人が持つ性質や気質などをはかる検査のことですが、その多くは程度や量をはかり、相対的なものの見方をする特性論に基づいて設計・開発されています。


一方で、ユングの心理学的タイプ論を理論背景としたMBTIは、人を質的に異なるカテゴリーに分類し、絶対的なものの見方をする類型論に基づいて設計・開発されています。


特性論と類型論(タイプ論)についてはこちらもご覧ください。










二律背反


類型論に基づくユングのタイプ論の基礎にある考えは二律背反です。


二律背反とは「一方が存在しなければもう一方も存在しない2つの存在。そして一方はもう一方の対極の存在である」という考えです。


具体的な例を挙げると、「光と影」「表と裏」「真実と嘘」「前と後」などが挙げられます。


ユングは人の性格も二律背反で成り立っていると考えました。



MBTIのモデル


MBTIはユングが「Psychological Types」において提唱した3つの指標に、マイヤーズ母娘が一つの指標加え、4つの指標から構成されます。


1.心のエネルギーの方向性:外向(Extraversion)と内向(Introversion)


心のエネルギーが自分の外の世界に向かうのか、自分の内なる世界に向かうのかを現します。あくまでもエネルギーの向かう方向を示すもので、私たちが日常で使う「外向=明るい性格で社交的」「内向=内気で引きこもりがち」といった意味ではないので、ここは注意が必要です。


2.ものごとの捉え方(知覚の仕方):感覚(Sensing)と直感(Intuition)


情報をどのように収集することを自然と好むのか、どのような情報にまず引き付けられるのか。ユングは人の認知機能を二律背反の構造で考えました。その2つとは五感を使って情報を集め、ありのままに情報を捉える「感覚機能」と情報からアイデアや閃きや関連性を得ることを好む「直感機能」です。


3.判断の仕方:思考(Thinking)と感情(Feeling)


情報を捉える認知機能と対をなし、集めた情報を結論に導くのが判断機能です。この判断機能も二律背反の構造をしています。一つは判断基準が物事の因果関係や合理性や原理原則に基づく思考機能。それと対をなす対極の機能が、個人的な価値観や対人関係への影響に基づき判断する思考機能です。


4.外界への接し方(ライフスタイル):判断的態度(Judging)と知覚的態度(Perceiving)


判断的態度と知覚的態度は、マイヤーズ母娘がユングの提唱した3つの指標に追加した4、つ目の指標です。このことによって、ユングの提唱した心理学的タイプ論の実用化に貢献したといわれています。判断的態度と知覚的態度は自分の外の世界にどのような態度で接しているかについての指標です。一つは、自分の外側の世界を体系立てたり、状況を整理し判断しようとする「判断的態度」。対極の機能は外側の世界から新しい情報を取り入れ、その場その場で臨機応変に対応しようとする「知覚的態度」です。


これら、エネルギーの方向性(外向(E)と内向(I))、知覚機能(感覚機能(S)と直観機能(N))、判断機能(思考機能(T)と感情機能(F))、外界への接し方(判断的態度(J)と知覚的態度(P))によって心の規則性を明らかにしていくのです。


MBTIの特徴や利用場面については「日本MBTI協会」のホームページに詳細が記載されていますのでご参照ください。(日本MBTI協会


MBTIの受検とフィードバック


インターネットで「MBTI」を検索するとWEB上で気軽に受検できるものが複数見つかりますが、これらはどれもMBTIではありません。


MBTIが他の性格検査と最も異なる点は、WEBや紙での受検により報告される検査結果(レポート)をきっかけにして、MBTIの専門家である認定ユーザーの支援のもと、受検者本人が、検査結果を検証し、自己理解を深めていく、その過程(プロセス)そのものを重視しているところです。


そういった意味ではMBTIは単純な性格検査というよりも、生まれ持った自身の心の規則性を知り、日常生活で活かしていくためのメソッドと言った方が適切かもしれません。


MBTIでは受検後に認定ユーザーの支援のもと、検査結果を検証し、自己理解を深め、自身が最もしっくりとくるタイプ(ベストフィットタイプ)を見つけ出すためのフィードバックの時間を持つことが義務付けられています。


そして、このフィードバックには最低2時間という時間をかけることが日本では義務付けられています。


MBTIが役立つ3つの理由


1.自己理解が深まる


MBTIでは検査結果をきっかけに、認定ユーザー支援のもと、自分のタイプの検証を行います。


検査で報告された結果は「仮説」にすぎないと考えます。実際に、検査結果によるタイプがしっくりくると回答する人は受検者の7割程度です。3割の人はフィードバックで行われるいくつものワークを通じて、検査結果とは異なるタイプが自分のベストフィットタイプであることを発見します。


この、自分のタイプの検証というプロセスを通じて、自身の心の規則性を理解し、自分にとっての当たりまえが、なぜそう感じるのかを知ることを通じて、自己肯定感を引き上げる可能性を高めます。


2.他者理解が進み他者尊重が促される


MBTIでは、検査結果をきっかけとしたフィードバックのその過程で、当然、自分とは対極の心の規則性を持つ人が居ることにも気づくことになります。この気づきが非常に大きいのです。


自分がどのように世界を認識し、判断することを自然と好むのかを知ると同時に、自分とは異なる人が存在するということがはっきりとわかります。


そして、自分が特定の人や行動に対してイラついたり、受け入れがたいと感じるのは、自分と同じであることを相手に強要しているときだということが理解できます。


このことは相手にとっても同様で、人間は、お互いにストレッサーになり得るということをMBTIは教えてくれます。


MBTIは、人がそれぞれ異なる心の規則性を持っていること、その違いの間には優劣は存在しないことへの理解を深めてくれます。


そして、他者尊重の視点を与えてくれます。


3.自己成長への助けとなる


MBTI(タイプ論)では人はすべての態度と機能を持っていて、そのどれもを使うことができると考えます。タイプとはその人が日常で自然と好んで使う心の機能と、普段は無意識に沈んでいる心の機能の相補関係を現すものです。


私のタイプはESTJですが、対極のI・N・F・Pも持ち合わせているということであり、そこに自身の成長の可能性があると考えます。私自身が、自分の中に持っているI・N・F・Pを意識することで、さらに自己理解が促進され、他者理解にも生かされるのだと思います。


 

MBTIは人生を通じた自己成長への示唆を与えてくれます。


性格検査という分野においては、そのような示唆を与えてくれるものをMBTI以外に私は知りません。


ユングの心理学的タイプ論をベースにしているMBTIは、理論背景がシンプルであるがゆえに、素晴らしく説明力が高いものです。


世の中には人の性格を特徴づける性格検査は沢山あります。それらの間には、優劣はありませんし、利用目的に応じた使い分けがされれば良いと私は考えています。


ただ、その利用目的が、深い自己理解と他者尊重であり、あなたが心の全体性を高めて人生を豊かなものにしたいと願うのであれば、MBTIはその力強い助けとなるでしょう。

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