皆さんは「ラポール」という言葉を聞いたことがありますか?
心理学、カウンセリング、コーチングなどでよく耳にするこの言葉。
最近ではビジネスの現場でもよく使われるようになったと思いませんか。ごく普通に「ラポールを築きましょう」なんて書かれた記事を読んだり、講演を聞く機会が近年とても多くなりました。ブログや書籍のタイトルにラポールというキーワードを見ることも多くなりましたね。
ラポールとは
ラポールとは、フランス語で「関係性」という意味の臨床心理学用語です。相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり、感情の交流を行える関係が成立している状態を表す語として用いられます。
※なぜかわかりませんが「フランス語で「架け橋」という意味です」と説明しているものが数多くありますが、辞書を引いてもそういう意味はありません。誰が言い出したんでしょうか。語源をご存知の方がいらっしゃったら教えてください。
一言でいうと、ラポールとは「人と人の間にある信頼関係のこと」と理解すれば良いでしょう。
「心が通い合っている」
「どんなことでも打明けられる」
「言ったことが十分に理解される」
このように感じることができる関係が、相互にできているということですね。そして、このような関係を築くことを「ラポール形成」といい、セラピーやカウンセリングの場ではもちろん、ビジネスや日常の人間関係でも、コミュニケーションの土台となる重要な要素とされています。
ラポール形成の効果
人が人と関わるとき、信頼が大切だということはわかりますが、ではラポールが築かれるとどのような効果があるのでしょうか?
それは、ラポールを築くことで、オープンなコミュニケーション(何でも話せる)を行うことができるようになり、相手に影響を与えることができるようになるということです。
人はどんなに論理的な人であっても、結局は仲の良い人、好意を持っている人に弱いという側面があります。ビジネスでも恋愛関係でも友人関係でも、私達は自分のことをわかってくれる人に対して親近感を持ち、心を開きます。
そして、自分のことをわかってくれる人と出会ったとき、「ああここにいて良いんだ」
「この人は安心できる」「なんでも相談してみよう」という気持ちになります。
このような状態になっているとき、意識せずとも心が通じ合ってしまう、一緒にいて心地いいとお互いに感じる精神感応が起こります。誰かと関わった時に「不思議と気が合う」と感じることがきっと皆さんにもあるはずです。これが精神感応です。
精神感応が起こった状態では、安心感が生まれ、自己開示が促進され、自己肯定感が高まるため、オープンなコミュニケーションを行うことができるようになり、相手に影響を与えることができるようになるのです。
どうやってラポール形成するのか
練習を重ねれば、どんな人とも簡単にラポールを築き、良い人間関係を築けるようになると言われています。そして、人と関わるときはいつでもラポールを築く練習の場になります。
では、ラポールを築く、その具体的な方法とはなんなのか?
NLPでは、主に3つのテクニックによってラポールを築くことが出来るとしています。
その3つのテクニックとは
1.ミラーリング
2.マッチング
3.バックトラッキング
です。
※これらのスキルについては、別の記事で詳細を解説します。
いずれのテクニックも、相手にあなたがその人と似た存在であるということを認識させ、類似性の法則によって生理的に好意を引き出し、急速にラポールを築くことを助けます。
上記のテクニックはご存知の方も多いと思いますが、実際に使いこなせている人は少ないように思います。
単純であるだけに自然に使いこなすには、練習が必要ですし、コツのようなものもあります。
テクニックよりも大切なもの
単純なテクニックだけでなく、そのテクニックを使う側の「在りよう」もラポールを築く大切な要素です。むしろ、こちらの方が大切だと私は考えています。
ラポールとは「人と人の間にある信頼関係のこと」でしたね。
通常、信頼関係を築くというと「約束を守る」とか「嘘をつかない」とか「誠実な態度で接する」などが思い浮かびますね。
しかし、ラポールとはこういったことで築かれる信頼関係とは少しニュアンスが異なります。
では、どういうことなのかというと、それは「何もしなくても、ふと心が通じ合ってしまう」状態です。古い文献を読んでみるとラポールのことを「精神感応」と表現しているものもあります。
初めて会った人なのに、無意識に「この人は好きだ」とか、「この人は信頼できる」といった感覚を持つことがありますが、そういった感覚をお互いにもっている状態が、ラポールが築かれている状態です。
この状態を築くために必要なのが、テクニックを使う側の「在りよう」なのです。ラポール形成のテクニックを使いこなすことが出来ている人が少ないように感じるのは、大切なこの「在りよう」が忘れられがちだからです。
相手を尊重し、大切な存在として扱うこと。
相手の役に立ちたいと願うこと。
テクニックよりも先に意識しておきたいですね。