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サークルオブエクセレンスとは?NLPで「最高の自分」をいつでも呼び出す方法

  • 執筆者の写真: めがねぱぱ
    めがねぱぱ
  • 4月19日
  • 読了時間: 11分

目次


1. はじめに:最高の自分が出せない日、あなたにもありませんか


大事なプレゼンの直前。重要なクライアントとの初回セッションの朝。あるいは、なんとなく今日はザワザワしていて気持ちが乗らない、そういう日。

こんな経験、きっとあなたにもあると思います。


「いつもならこれくらいは普通にできるのに、なんか今日はうまくいかない。」

あのもどかしさ、わかりますよね。


コーチやコンサル、セラピストとして働いている方なら特に、「クライアントの前で本来の自分を出せなかった」という感覚は、じわじわと自信を削っていくものです。


でも、ここで一つ聞かせてください。

その「うまくいかなかった」という感覚の反対側、つまり「今日はうまくいった」「自分らしくできた」という日の記憶、あなたにはありますか。


おそらく、あるはずです。一度でも。

NLPには「人は必要なリソース(資源)をすでに持っている」という根本的な考え方があります。問題は「力がない」のではなく、「その力へのアクセスの仕方がわからない」だけだ、という見方です。


今日紹介する「サークルオブエクセレンス」は、その「アクセスの入口」を意図的に作る技法です。


サークルオブエクセレンス概念図:自信・集中力・平静さ・達成感・創造性・柔軟性など、複数のリソース状態が円の中に積み重なるイメージ
サークルオブエクセレンス概念図

2. サークルオブエクセレンスとは何か


サークルオブエクセレンス(Circle of Excellence)は、NLP(神経言語プログラミング)の共同創始者であるジョン・グリンダーと、NLPトレーナーのジュディス・デ・ロジエによって開発された技法です。


「エクセレンスの円」とも呼ばれ、日本語では「卓越の輪」と表現されることもあります。

一言でいうと、「最高の自分の状態」を、想像上の円というシンボルに結びつけることで、必要なときにその状態を素早く呼び起こせるようにする技法です。


もともとは「アンリソースフルな状態(力が出ない、ネガティブな状態)を崩壊させる」ための技法として開発されました。のちにトニー・ロビンズがセミナーで大規模向けにアレンジして普及させたことで広く知られるようになりましたが、実際の起源はグリンダーたちのNLP研究にあります。


この技法の核心にあるのは、次の2つの原則です。

1.人間の脳は、空間や場所と感情を強く結びつける能力を持つ

2.繰り返しによって、その結びつきは強化・自動化される

この2つを意図的に利用することで、「あの円に入れば最高の状態になる」という回路を脳に作っていきます。


3. なぜ「円」なのか──脳と空間の深い関係


「円」を使う理由、気になりませんか。四角でも三角でもなく、なぜ円なのか。

一つには、「完全性」や「包まれている感覚」を象徴するシンボルとして、円は多くの文化で普遍的に使われてきた形だということがあります。ただしこれは文化的・哲学的な背景です。


より重要なのは、神経科学の観点です。

人間の海馬(記憶を司る脳の部位)は、「場所と記憶・感情の結びつき」を作るのが非常に得意です。好きな人と行った場所に戻ると気持ちがふわっとする、嫌な記憶のある場所では理由もなく気分が重くなる、という経験があるはずです。これは「場所細胞(プレイスセル)」と「グリッド細胞」という神経細胞が空間と情報をセットで記憶する仕組みによるものです。


サークルオブエクセレンスは、この「空間と感情の結びつき」をフル活用します。

実際に床の上に円を描いてもいいし、想像の中に円を作るだけでも十分です。スポーツ選手がルーティンとして「特定の場所に立つ」ことでパフォーマンスを安定させるのと、同じ仕組みです。


そして面白いことに、脳は「実際に起きていること」と「鮮明に想像していること」を完全には区別できません。スポーツ心理学の分野では、試合前に「完璧なプレーをしている自分」を鮮明にイメージするだけで実際のパフォーマンスが向上するという研究が長年にわたって蓄積されています。


つまり、「想像上の円を踏む」という行為も、脳にとっては実際の経験として処理されていくのです。


4. アンカリングとは何か──脳が毎日使っている仕組み


サークルオブエクセレンスを理解するうえで欠かせないのが、「アンカリング(Anchoring)」という概念です。


難しそうに聞こえますが、実はあなたがすでに毎日使っている仕組みです。

パブロフの犬、という話を聞いたことがあるかもしれません。ロシアの生理学者イワン・パブロフが19世紀末に行った実験で、ベルを鳴らすたびに犬にエサを与え続けると、やがてベルの音だけで唾液が出るようになる、というものです。


人間も、まったく同じ仕組みで動いています。

特定の刺激(音、匂い、映像、感覚など)と特定の感情・状態が繰り返し組み合わさると、やがてその刺激だけで感情が呼び起こされるようになる。これがアンカリングです。


身近な例を挙げてみましょう。

•好きなアーティストの曲を聴くと、その曲を初めて聴いたころの記憶がよみがえる

•母親の料理の匂いをかぐと、無条件に安心感が広がる

•昔の恋人が使っていた香水の匂いに、予期せず胸が締め付けられる


これは全部アンカリングです。

意図せず作られたアンカーが、今でも機能しているわけです。


NLPでは、このアンカリングを意図的に設定することができます。

そして、サークルオブエクセレンスは「想像の円の中に入る」という空間的な刺激を使って、「最高の状態」をアンカリングする技法です。


使えば使うほどアンカーが強化され、やがて「あの円に入ればすぐ切り替わる」という確かな感覚になっていきます。

サークルオブエクセレンス実践ステップ図:①リソース記憶を選ぶ→②サブモダリティを強化→③円にリソースを置く→④ピーク時に踏み込む→⑤スタッキング
サークルオブエクセレンス実践ステップ図

5. サークルオブエクセレンスの実践ステップ


では、実際にやってみましょう。

座っていても立っていても大丈夫です。

ここでは一人でできるセルフワークとして説明します。


STEP 1|リソース記憶を選ぶ

まず、過去の「うまくいった瞬間」を一つ思い出してください。

大きな成功じゃなくていいです。


クライアントとのセッションが手応えがあった日。

プレゼンの後に「今日はよかった」と思えた瞬間。

誰かに「ありがとう」と言われて、胸がじんわりした日。

なんでも構いません。


重要なのは「その時の自分の目線で思い出す」こと。

第三者として外から眺めるのではなく、その時の自分の視点から見た景色を思い浮かべます。


STEP 2|サブモダリティを強化する

「サブモダリティ」という言葉が出てきましたが、難しく考えなくて大丈夫です。

要は「感覚の質」のことです。


思い出したシーンの色を、少しだけ鮮やかにしてみてください。

明るさを上げる感じで。

その場の音も、少し大きく鮮明にしてみてください。


そして体の中の感覚、胸が広がる感じ、肩の力が抜けている感じ、温かい感覚、そういうものをじっくり感じてみてください。それをもう少し大きく、強くしていきます。

この「感覚を育てていく」作業が、アンカリングの精度を高めます。


STEP 3|円を想像し、リソースを「置く」

感覚が高まってきたら、目の前の床に光る円が浮かんでいるのを想像してください。大きさは、自分がすっぽり入れるくらい。色や質感は直感で浮かんだものでOKです。


その円の中が、今あなたが感じているリソース状態で満たされているとしたら、どんなエネルギーがありますか。温かい光?静かな安定感?それともビリビリとした活力?


STEP 4|ピークで踏み込む

感覚がピークに近づいてきたところで、その円の中へ一歩踏み込んでください。

実際に体を動かせる場合は、本当に一歩踏み出してみます。


音声だけで行う場合は、「踏み込むイメージ」だけでも十分な効果があります。

足が触れた瞬間、状態がさらに深まっていくのを感じてください。

しばらく、この円の中にいてみましょう。


STEP 5|円から出て、リセットする

一度円から出て、軽く体を揺らして「状態をリセット」します。

これをNLPでは「ブレイクステート」と呼びます。


このリセットを挟むことで、「円の外」と「円の中」のコントラストが明確になり、アンカーとしての精度が上がります。


6. リソースを積み重ねる「スタッキング」とは


一回のワークで一つのリソースを入れたら、次は「スタッキング」です。

スタッキングとは、複数のリソース状態を同じ円に積み重ねていくことです。


たとえば、最初に「落ち着き・平静さ」のリソースを入れたら、一度外に出てリセット。次に「自信・確信」のリソースを同じ円に入れる。さらに余裕があれば「喜び・ワクワク感」も加えていく。


これを繰り返すことで、この円はどんどん豊かになっていきます。


「一つの刺激に複数のリソースを重ねる」ことで、アンカーの強度が増すだけでなく、「一つが弱い状態のときでも、別のリソースが補完してくれる」という効果も生まれます。


スタッキングは最初から完璧にやろうとしなくていいです。最初は一つのリソースから始めて、使いながら少しずつ育てていく感覚で十分です。

夜明けの丘に立つ人物。大切な場面の前に、円を踏む。最高の自分は、いつでもそこにいる。
大切な場面の前に、円を踏む。最高の自分は、いつでもそこにいる。

7. 日常・仕事での活用シーン


サークルオブエクセレンスは、どんな場面でも使えます。具体的に見ていきましょう。


コーチ・コンサル向け:セッション前の5分間

クライアントとの面談や、オンラインコーチングの開始前に使うのが特に効果的です。5分早めに準備を終わらせて、目を閉じて自分の「最高のセッション」の記憶を呼び起こし、円に入ります。


「本来の自分の状態」でセッションに入ると、クライアントの話への共感の深さや、問いかけの質が変わってきます。コーチとして「自分がすでに満たされている状態」で相手に向き合えるかどうかは、セッションの質に直結します。


セラピスト向け:難しいケースの前に

セラピストの方が特に疲弊しやすいのは、難しいケースを連続して担当するときです。前のクライアントの感情的な重さを引きずったまま、次の方に向かってしまう経験、ありませんか。


そういうとき、この円は「リセットと再充電」の道具として機能します。セッションとセッションの間の数分間で使えます。


一般の方向け:朝の習慣として

「今日一日を、どんな自分で過ごしたいか」を意図的に選ぶ習慣として朝に使う方もいます。


仕事の前、大事な電話の前、重要な話し合いの場に向かう前。「どんな自分でそこに入るか」を選べるようになると、日常の質感がじわじわと変わっていきます。


経営者・リーダー向け:重要な意思決定の前に

重要な判断を迫られる場面で「自分が一番よく機能しているときの状態」で臨めるかどうかは、意思決定の質に影響します。焦りや不安の状態での判断と、落ち着きと明晰さの状態での判断は、アウトカムが変わることがある。この円は「最高の状態で考える」ための準備動作にもなります。


8. よくある疑問と注意点


Q. 「最高の状態」の記憶が思い浮かばない場合はどうする?

完全に「過去の記憶」でなくても大丈夫です。「こんな自分だったらいい」というイメージを使って始めることもできます。または、他の人(尊敬している人、実在の人物でも架空のキャラクターでも)が「その状態にいる」様子を思い浮かべて、それを素材にする方法もあります。


Q. 何回やれば「使えるアンカー」になる?

個人差がありますが、一般的には同じ円に対して繰り返し行うことで精度が上がります。最初の数回は「ちょっと変わった気がする」程度でも十分です。続けていくうちに「ここに入ればすぐ切り替わる」という確かな感覚になっていきます。焦らず、育てていく感覚で取り組んでみてください。


Q. サークルオブエクセレンスはどこに「持ち歩く」の?

これはNLPの世界でよく言われる表現なのですが、「円を想像の中にたたんで、ポケットに入れる」というイメージです。物理的な道具は何もありません。「あの円」を心の中に持ち歩くことができます。必要な場面になったら、その場に「円を開いて踏み込む」イメージだけで使えます。


Q. 効果が出にくい場合は?

資源状態を呼び起こすときに「外から眺めている(ディソシエイテッド)」状態になっていると、感覚が薄くなります。「その時の自分の目から見た視点(アソシエイテッド)」で記憶に入ることが重要です。もし外から眺めるイメージになっていたら、意識的に「そのシーンの中に入り込む」ようにしてみてください。


9. まとめ:あなたの中に、もう答えはある


今日お伝えしたサークルオブエクセレンスを、もう一度整理しましょう。


サークルオブエクセレンスとは、過去の「最高の状態」を素材にして、アンカリングという脳の仕組みを使い、いつでもその状態にアクセスできる「入口」を作る技法です。


脳は空間と感情を強く結びつけます。その性質を意図的に使い、「円を踏む」という動作に「最高の自分の状態」を結びつけていく。繰り返すことで回路が強化され、やがて「ここに入ればすぐ切り替わる」という確かなリソースになっていきます。


コーチとして、コンサルとして、セラピストとして。あるいは、日々の暮らしの中で「本来の自分でいたい」と思うすべての人に使える技法です。


NLPの前提に「人は必要なリソースをすでに持っている」という考え方があります。

最初に聞いたとき、私もすぐには信じられませんでした。


でもサークルオブエクセレンスを使い続ける中で、少しずつその意味がわかってきました。「ない」と思っていたのは、アクセスの仕方を知らなかっただけだった。


あなたの中に、もう答えはあります。あとは、入口を作るだけです。

著者:めがねぱぱ

全米NLP協会公認NLPトレーナー。Clubhouseにて毎週NLP・心理学・コミュニケーションに関する講演を実施。LINE Open Chat・Xでも情報発信中。


本記事はNLPの理論と著者の実践経験に基づいて執筆されています。効果には個人差があります。

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